卒業研究・制作

作品系/美術

「One and only」

安宅 陽果(美術・工芸コース)

インスタレーション/ジェスモナイト(水性樹脂)、ガラスクロスヤーン(ガラス繊維の糸)

第1会場:高岡市美術館

人は誰しも母親の子宮に包まれながら生まれ、棺桶等に包まれて死後の世界へと旅立ち、新しい命へとつながっていく。同じ子宮から生まれるのに、人は生まれる場所や環境を選ぶことは出来ない。しかし、それが全てではない。生きていく中で人とのつながりや様々な経験を重ねることで、それぞれの性格や価値観を構築していく。そしてそれは、過去だけで無く、現在、未来へとつながっていく。あなたは他の誰でもない唯一の存在だから今を大切に。

「肉塊からの解放」

安倍 凜伽(美術・工芸コース)

立体造形/ミクストメディア、アクリル、ジェッソ、モデリングペースト、パネル、スタイロフォーム

第1会場:高岡市美術館

自分の体重や体についている脂肪を気にしてしまうことがある。
気にしてしまう一方で、体をつまんだり姿勢を変えたりすると出てくる忌々しい存在は、自分だけが持っている形であるし、大切にしたいと思っている。
脂肪を魅力的に見せるために「緊縛」を取り入れようと思った。緊縛は結ぶことによって自由を奪い、その美しさを引き出すことができる。
角度や結び方で変化する脂肪を作品の一部にすることで、コンプレックスである自分の体の一部を認めてあげたいと考えた。

「Baby with a balloon」

牛田 春花(美術・工芸コース)

彫刻(木材)/楠、水干絵具、水彩絵具、写真転写

第1会場:高岡市美術館

あなたは、何者にも囚われないあなた。
時には、人を頼りながら、
自由に生きていいの。

「愛の祈り」

大橋 結花(美術・工芸コース)

絵画/油絵具、キャンバス

第1会場:高岡市美術館

人を想うことと人に想われることで「自分」という存在が形成されていく。人を想い続けたい気持ちと、想う私を忘れないでほしいという気持ちの中で生きる人の様を描いた。
人物の周囲には、愛の象徴であるハチドリや「私を忘れないで」という意味のある勿忘草をモチーフとして配置し、想いたい気持ちと想ってほしいという気持ちの共存する様を描いた。また、人に対する想いの発するエネルギーや質量を、色を何層にも重ね表現した。

「記憶の断片」

小野寺 麻衣(美術・工芸コース)

絵画/油彩、キャンバス

第1会場:高岡市美術館

この作品は、記憶がもつ曖昧な一面と、時とともに移り変わる性質を表現した。人は誰しも今までの記憶を持っている。そしてこれからも、生きている限りは様々な経験をし、様々な感情を抱くだろう。そのどれもをずっとその時のまま覚えていることはできないが、それでも自分なりに、大事なものとして保存しておきたい。そういった考えが、この作品を制作することに決めた大きな理由である。

「今だけは」

久世 さくら(美術・工芸コース)

絵画/油絵具、キャンバス

第1会場:高岡市美術館

大学生活で得た幸せを、絵に描き留めることに決めました。
その時の雰囲気や笑顔を思い出せる限り、写真よりも鮮明に描き起こすことを意識しました。
この作品を通して私が感じた友人達との時間が鑑賞者にも伝わり、様々な年代の方が懐かしんだり、笑ったりしてくれるような効果を期待しています。

「コン」

小山 桃花(美術・工芸コース)

絵画/油絵具、キャンバス

第1会場:高岡市美術館

音が奏でられれば自ずと身体も踊りだす。音と動きにはつながりがあり、歌っている姿や踊っている人間の全容を具体的に描かなくても音を表現できるのではないかと思った。そしてそれらの音は、「色彩によって奏でる」ことが可能なのではないだろうか。絵画が持たない音という存在をいかに絵画的に表現できるのかということをテーマに、目で見て感じるだけでなく、色彩が奏でる音を対象の動きと共に聴く絵画を目指した。

「DAYS」

佐々木 杏子(美術・工芸コース)

絵画/高知麻紙、岩絵具、水干絵具、色鉛筆、胡粉

第1会場:高岡市美術館

Every day is a new day.
わたしはわたし。あなたはあなた。
好きに、生きよう。

「膨らむ」

柴田 紗英(デザインコース)

美術/乾漆、漆、パン、木材

第1会場:高岡市美術館

漆の抗菌効果に興味を持ち、食べ物であるパンに漆を塗ってみたいと思った。
パンと漆それぞれの素材の性質について研究し、パンの形を漆で保持できるようになった。
また、はじめは食パンなど市販のパンで制作をしていたが、制作するなかで、パンの膨らんでできる形にも魅力を感じ、自分でパンから作るようになった。
発酵することによって意図したとおりにならないことを含め、この素材の魅力が活きるかたちを模索した。

「愛しの花嫁」

杉浦 美羽(美術・工芸コース)

美術/日本画、高知麻紙、岩絵具、水干絵具、染料、墨、膠

第1会場:高岡市美術館

生きていく中で選択をしなければいけない場面はたくさんありますが、どの選択をとっても結果としてある程度の制限というものはつきものであると思っています。まして、女性に生まれたからには尚更、時として諦めなければいけないこと、周囲から期待される理想像、年齢の時間制限など今の社会を生きていく上である種の縛りや生き辛さがあるように感じられます。例えどれを選び取ろうと、その選択が尊いものであってほしいという思いを込めて制作しました。

「長閑」

髙木 峰香(美術・工芸コース)

日本画/和紙、岩絵具、水干絵具、箔

第1会場:高岡市美術館

大好きなフトアゴヒゲトカゲと観葉植物を同じ画面に描くことによって、自身にとっての安らぎの空間を表現しました。トカゲの鱗は盛上げ胡粉を使って立体的に描写し、その上から箔押しをおこなうことで、トカゲらしい質感を表現しました。絵の様々な所でトカゲが擬態しているので、何匹いるか探しながら見ていただきたいです。

「Roundly」 

田向 沙衣(デザインコース)

インスタレーション/モニター、スピーカー

第2会場:富山大学 高岡キャンパス

通常、アニメーション作品において付随する音は映像に密接な関係にあるが、本作品ではあえてその二つを切り離すことで、鑑賞者に展開をイメージさせる。スピーカーからは洗濯機の動作音と、モニターには反芻思考をテーマにしたアニメーションが繰り返されている。
聞きなれた生活音を聞きながら、それにつながり、分離するアニメーションを鑑賞し、ぐるぐると巡る作品から生まれる齟齬を楽しんでほしい。

「環垂」

鍋山 詩織(美術・工芸コース)

絵画/和紙、岩絵具、水干絵具、顔彩、箔、膠

第1会場:高岡市美術館

私が今までに見て記憶に残っているもの。
時折、意識の中に浮かんでくるようなものたち。
その中から描きたいと欲したものを取り留めもなく描きだし、一つの絵画の中に構成した。

「私には夢がある」

仁科 希望(美術・工芸コース)

絵画/色鉛筆、アクリル絵具、ケント紙

第1会場:高岡市美術館

動物たちの身体や眼、また、模様には自然界を生き抜くパワーがあり、それらが放つエネルギーが希望や夢への実現の象徴となるよう塔のように構図を組みました。

「愛でる」

橋 夏海(美術・工芸コース)

彫刻/ジェスモナイト(水性樹脂)、アクリル絵の具、ピアノ線

第1会場:高岡市美術館

私が動物に対して感じることは怖さよりも圧倒的に愛らしさが勝つ。獰猛で凶暴だと思われがちな大型動物にも無防備で間抜けな姿は必ずあって、その愛くるしい姿に私は心を奪われる。私がこの子を愛でてきたように、あなたもこの子を愛でてくれたら嬉しい。

「輪廻」

符 琳(美術・工芸コース)

日本画/紙本着色、白麻紙、岩絵具、墨

第1会場:高岡市美術館

「輪廻」は「生命の循環」を意味する。新葉は腐敗したものから養分を取り、成長し、次第に枯れて地面に戻り、また新しい生命の養分になる。生と死の関係、明と暗の対比、これらを表現したい。画題にした風景は日常的に通りかかる場所だが、猫の存在で格別な意味を感じた。猫が腐敗した木を乗り越えて、野草の中に潜って先に進んで去ってしまったのを見て、私は立ち止まった。猫の出現がこの何気ない日常風景に生命力を注いだ気がした。

「FEMININITY」

藤井 朱里(美術・工芸コース)

第1会場:高岡市美術館

彫刻/ジェスモナイト(水性樹脂)、アクリルガッシュ、チュチュ、パールビーズ

女性が自らのセクシュアリティを自覚すること、女であるという性質を様々に受容、もしくは拒絶し、性や生殖の在り方を自由に選択することについて思考し、制作に至った。
エドガー・ドガ〈踊り子〉をオマージュし、娼婦としてのバレリーナを主題に、生まれ持った身体の性質を懐き、現代を多様に生き抜く女性を表現した。

「あなたの思う「透明」ってどんなもの? と僕は問う。」

朴木 新(美術・工芸コース)

現代アート/エポキシ樹脂、ステンレス、合板、脚材

第1会場:高岡市美術館

あなたにとっての「透明」ってどんなものですか。僕は「鏡」が近いのではと思う。それよりも近いと思うもの、それは「人との関係」だと思う。見えない何かで繋がっている関係、それが「透明」なのではないか、そしてこの作品を通して透明に対しての再認識を試みてほしい。

僕は問う、あなたにとって「透明」ってどんなものですか。

「ねえねえ、みてっ!」

干場 彩華(美術・工芸コース)

絵画/アクリル、紙、ペン、コピック、シール

第2会場:富山大学 高岡キャンパス

今日の朝ご飯は何を食べた?好きな給食って何だった?台風の目、一回も見つけられたことがない!あなたはある?虹って見つけられたらとてもハッピーだけど実は結構な頻度でみられるよね・・・かき氷って味がしないところに出会うと何を食べているのかわからなくなる。お昼寝って想定していた時間の3倍くらい寝ちゃうよね、15分がちょうどいいなんてきくけど、そんな時間じゃ満足できない!ねえねえ、あなたはどう?

「かえるの色」

松宮 菜美子(美術・工芸コース)

立体造形/漆、麻布、炭粉

第1会場:高岡市美術館

幼いころから魅力的に感じていたカエルという生き物。
漠然と抱いていた好きという気持ちを、大学生活で出会った漆という素材を使って見つめなおしました。

「ガブリとモググ」

宮田 かの(美術・工芸コース)

立体造形(3D)/ PLAフィラメント、ZBrush、3Dプリンター(熱溶解積層法)

第1会場:高岡市美術館

この作品は制作した2体の名前をタイトルにしている。
腕をもって口を開けているのがガブリ、頭を持っているのがモググである。どちらの名前も漫画で使用される食事シーンの擬音(オノマトペ)である「ガブ」と「モグモグ」から取って名付けた。

「メリーバッドエンドのイラストレーション表現」

森田 玲奈(デザインコース)

イラストレーション/イラストレーション、額縁、プロジェクター

第2会場:富山大学 高岡キャンパス

悲劇的な展開の作品を目にした時に感じる切なさを分解していくと、「メリーバッドエンド」という表現が当てはまった。複数のイラストレーションを通して、世間的にはポピュラーではない「悲劇のもたらす切なさによる感情の浄化」を鑑賞する人に知ってほしい。

「perfect」

山口 優希(美術・工芸コース)

立体造形/テラコッタ、木材、シュロ縄、スタイロフォーム、鏡シール、アルミ板

第2会場:富山大学 高岡キャンパス

相手が私に対してひどく怒っている。どうしてそうなるのか私には分からない。
全く異なる価値観を持った相手に出くわし翻弄された時、相手の見る現実と実際の現実にずれが生じていることを知る。それを機に己の見る価値観を完全と思って振る舞う不完全な人格を現実に表出させようとした。
この作品では歪んだ鏡を主観、鏡を見ながら粘土で作る形を現実の形として、自分と異なる価値観を持つ相手を鏡の中に忠実に作っていく。鏡に映る形と己の感覚とのギャップから、思うままに相手の姿が完成しない中で少しずつ歪みを認知して受け入れていく。

「時をたゆたう」

山下 萌乃(美術・工芸コース)

絵画/日本画、揉み紙、土佐麻紙、岩絵具、水干絵具、銀箔、膠

第1会場:高岡市美術館

化石は太古の生物の姿や生活の様子を現在に伝えている。今はいない、見たこともない生物が生きていた頃を想像すると浪漫を駆り立てられる。
クラゲは5億年前からその姿を変えていないことから「生きる化石」と言われている。しかし、身体のほとんどが水であるため、基本的には化石にならない。本作品では、そんなクラゲを化石に閉じ込めてみた。時代を超えて姿を残し続ける生物に、想いを馳せてみて欲しい。

「その場しのぎのものなんで」

浦 真斗花(芸術文化学研究科)

インスタレーション/ミクストメディア

第2会場:富山大学 高岡キャンパス

自転車が盗まれた。しかしながら乗っていた自転車に思い入れが全くなく、消耗品のような感覚になっていた自分に気付かされた。物を大事にするという感覚はどこまで通用するのだろうか。工業製品が御神体やよりしろとして奉られたら、神様の説得力はあるのだろか。崇高であってほしい神様が安っぽいことで、一時的な欲求や浅はかな安心感、マジョリティへの従属をあらわした。

WP Twitter Auto Publish Powered By : XYZScripts.com