「お砂糖とスパイスと 素敵な何もかも」
梅元 詩乃(美術・工芸コース)
絵画/岩絵具、水干絵具、色鉛筆、アクリル絵具、和紙
第1会場:高岡市美術館
私は、ふとした瞬間に見せる顔や取り繕っていない無邪気な姿など、人間の可愛くてあたたかい瞬間に惹かれるため、卒業制作ではそんな瞬間をたくさん詰め込んだものを描きたいと思い、1枚絵ではなく複数枚のパネルで制作しました。
モデルは小学生、中学生、高校生、大学生まで、学生の女の子です。自分の周りにもこんな子が居たかもしれないなぁと感じて貰えたら幸いです。
「尽きない心」
浦野 聖菜(美術・工芸コース)
絵画/油絵具、キャンバス
第1会場:高岡市美術館
思春期の「心情」をテーマに15歳の妹を描いた。
日々、大人へ近づく妹の「子どもから大人へ」の二面性が垣間見える表情や、思春期特有の「不安定な心」「心の迷い」「好奇心」などの心の揺れの魅力を伝えたいと思い制作した。
周囲のモチーフは、妹が関心を示す日常のたわいもないモノを選び、わけのわからない楽しさやファンタジー感を演出した。モチーフを沢山描きこむことで、あれこれしたいことが溢れ出す多感な妹の心情と、動き回るうさぎにより、思春期の起伏の激しい多感な心情を表現し作品にした。
「清閑」
大西 若菜(美術・工芸コース)
絵画/キャンバス、油絵具
第1会場:高岡市美術館
「清閑」とは「俗事に煩わされず静かなこと」を表す。しかし、現代では俗事に煩わされない状況は少なく貴重である。
この作品では私の思う「清閑」に近い状態、ある一定以上の植物・樹木の空間に一人身を置くという状態を描いた。また、若い女性という俗事にまみれていそうなモチーフを閑静な植物園風の画面に配置することで、「清閑」という状態を強調した。
「生きること」
大嶺 優佳(美術・工芸コース)
日本画/岩絵具、胡粉、顔彩、色鉛筆
第2会場:富山大学 高岡キャンパス
人里で暮らしているカラスは、人間と同じ環境でありながら、人間とは違った視点を用いて行動している。街灯や電柱などの公共設備は腰掛けであり、高層ビルの屋上は見晴台として使われる。人間に情報を伝えるための道路案内標識も日除けに利用し、民家の家庭菜園は食事処である。
この何物にも囚われない様子を観察していると、その自由さや発想に驚き、同時に自分がいかに固定概念を持って生活しているかを実感させられる。
「艶麗」
落合 杏(美術・工芸コース)
絵画/油絵具、パネル
第1会場:高岡市美術館
自らが美しいと考える「自立した芯のある女性」を描いた。ランプやアクセサリーなどの装飾品を描くことでより魅力的な女性になるように表現した。
油絵具の特徴を生かして透明色を重ねることで深みを出し、盛り上げる部分を作ることで、近くで見ても遠くで見ても面白い作品になるように追求した。
「みんなが自由でいられるように」
垣地 茉凜(美術・工芸コース)
立体造形/銅、ガラス、毛糸、ビーズ、針金
第1会場:高岡市美術館
アンスリウムの艶やかな肌や力強い葉脈、まっすぐ伸びる1つ1つの色が柔らかい土壌によって生かされている。
それぞれを認め合いながら、光に向かって伸びていく姿を表現した。
アンスリウムの花言葉、「飾らない美しさ」から、銅に塗装を行わず、それぞれの環境によって自由に色が変化していけるよう、余白を残して仕上げた。
「Traffic Light」
鎌田 千尋(美術・工芸コース)
絵画/キャンバス、油彩
第2会場:富山大学 高岡キャンパス
架空の3人組アイドルグループ「Traffic Light」のCDジャケットを制作しました。
CDジャケットは、元の曲を知っている人にはその曲との関連性を、知らない人にはどんな曲が収録されているかを想起させるものであると考えています。この4枚にはどんな曲が入っているか、「Traffic Light」が一体どんなものなのか、想像しながら楽しんでいただけると幸いです。
「life」
黒川 りな(美術・工芸コース)
絵画/高知麻紙、水彩絵具、水性顔料インクペン
第2会場:富山大学 高岡キャンパス
人生とは、日々の生活の積み重ねである。と、私は考える。そして、人生の豊かさは、その生活の中で「どれだけ自分の愛する人やものを大切にしてきたか」によって左右されるのではないか、とも考える。
私は自分の人生において、ひとつの大きな夢を追い求めるよりは、ちょっとした幸せを噛みしめ、積み重ね、それらを大切にして生きていたい。そうした気持ちを込めて、自分の生活を切り取った場面を小作品とし、ペン画特有の線を一本一本重ねて描いていくことや、小作品を一枚一枚積み重ねていくことを、生活を続け、積み重ねて生きていくことになぞらえて制作した。
どうか画面の前の貴方の生活にも、何気ない幸せが末永く降り注ぎますよう、願いを込めて。
「贅沢な苦しみ」
澤田 彩夏(美術・工芸コース)
絵画/油絵具、キャンバス
第1会場:高岡市美術館
世界中のすべての人々から愛されたいと願う。
他者からの評価のために生きる姿と、食べ物を貪り食う様子は似ている。
幸せとは何かを考えたとき、ある対象に執着し続け心身ともに余裕のなくなった自分が愚かに思えた。
「cute!cute!cute!」
宿屋 桐子(美術・工芸コース)
絵画/キャンバス、アクリル絵具、光沢紙、デコレーションパーツ
第2会場:富山大学 高岡キャンパス
女の子は彩りに溢れている。メイク、ファッション、ヘアセットにネイル…文字通り頭のてっぺんから爪の先まで、自分好みの「かわいい」を武装する日々。その「かわいい」は一人一人異なった個性に磨きをかけるのだ。
本作品では、それぞれのコーディネートに身を包んだ彼女たちを、シールやデコレーションパーツで着飾ることで、画面いっぱいの「かわいい」を表現する。私自身の「すき」を詰め込んだその姿は、きっと輝いて見えるに違いない。
「Glow」
杉本 有希乃(美術・工芸コース)
絵画/油絵具、キャンバス
第2会場:富山大学 高岡キャンパス
夏の終わりに近づいた頃、自宅近く前で見つけた夜明けの空模様をモチーフとした風景画を描きました。
制作の際には、自然が織りなす鮮やかな光の色や複雑な雲の形状の美しさはもちろん、この景色を実際に目にした時に感じとったインプレッションそのものを可視化して描きだすことを意識しました。
何気ない日常の中にあるきらめきに、私だけでなくこの作品を見た方々にも目を向けてもらえたら、という気持ちを込めて制作しました。
「N番目の章」
武部 朱華(建築デザインコース)
絵画/高知麻紙、岩絵具、水干絵具、墨、ペン
第1会場:高岡市美術館
狂った輪廻の輪に囚われた魂が繰り返す流れの一つ。これはN番目の子の生涯。N番目の章である。生まれて、苦しんで、溶けていくように死んでいく。この魂は、この流れを何度も繰り返している。何回生まれ、何回苦しんで、何回死んだのかすでに数えることをやめて、生に縋ることを諦めている。ただ死だけが救いだと信じて、その時が来るのを待っている。そしてそこには静けさだけが漂っていた。しかしながら死が救いになることはない。
「薄暮の中から」
田中 建成(デザインコース)
絵画/キャンバス、油彩
第1会場:高岡市美術館
今回の制作は、大学内の活動でえたものを総括するための絵画作品である。この作品は、むき出しの自然と、非自然の間の境界を描いたものである。
「境界」というものは、人を不安にさせる要素があるが、言い換えればその環境は美しさも内包していると考えられた。また、自身にとって絵画を描くことは、刹那的感情を表すものであった。忘れ去られることのないように思いを込め、制作した。そういった思索の成果が、今回の作品である。
「人魚姫」
浜田 康生(美術・工芸コース)
絵画/和紙、岩絵具、水干絵具、顔彩、箔、膠
第1会場:高岡市美術館
人魚姫の物語。
それは私たち人間からすると、水面が少し揺れたくらいのことにしか気づくことはできない。
「生活」
山下 莉子(美術・工芸コース)
ミクストメディア/アルミ板、油絵具、刺繍布、刺繍糸
第1会場:高岡市美術館
廃墟に植物が巻きついている様子が、死の上に生が支配する本質的な生存競争を彷彿とさせる。そうした魅力を表現したいと思い本作を制作した。
生活の場が脆く崩れていく様子を変形したキャンバスによって表し、廃墟を覆い尽くすかのような植物の勢いをリアルに表現するために、刺繍を加えることで油絵と糸が調和するところを作りつつ、立体的に際立つように工夫した。
「想う」
山中 小桜(美術・工芸コース)
絵画/油彩、キャンバス
第1会場:高岡市美術館
花束を胸に抱え、遠くを見据えて大切な人に思いを馳せる少女の姿を描いた。その表情はどこか虚ろで儚げに見える。私は、大切な誰かに思いを馳せる時間というものはとても尊く、美しい時間であると考えており、その思いを表現した。
少女の儚さと心情を表現するため、複雑な色の重なりによって色彩を構成した。また、少女の表情が美しく輝いて見えるよう、少女の周りを花々やレースで彩った。
「夢うつつ」
山本 早恵(美術・工芸コース)
絵画/高知麻紙、岩絵具、水干絵具、銀箔
第1会場:高岡市美術館
ゆらゆら揺れる自由な世界。ここは夢か現実か。
少女の心地よい眠りを美しい青色にのせて表現した。
「昼」
渡邉 友香(美術・工芸コース)
立体彫刻/石粉粘土、樹脂粘土、水彩絵の具、布・塑造、着彩
第1会場:高岡市美術館
関節部分が動く、球体関節人形を制作した。
「時の過行くままに」
朝戸 清照(人文社会芸術総合研究科)
絵画/紙本彩色、岩絵具、高知麻紙
第1会場:高岡市美術館
私たちは普段の生活の中で、光の存在を意識することはない。ところが、木漏れ日の美しさや不思議な形に伸びた影を偶然にも見てしまうと、光や影の存在を強く意識する。それは単に目に映ったものを認識したのではなく、喜怒哀楽の感情が揺さぶられたための結果だといえる。光をどのように扱うかで絵の印象は大きく変わる。
作品を制作する時、光と影に意識を向けることによって、感情が揺さぶられ新しいひらめきが生まれるかもしれない。
「「カオス」と「コスモス」の間に揺れる『こころ』」
飯野 那々子(人文社会芸術総合研究科)
絵画/油絵具、キャンバス
第1会場:高岡市美術館
私は普段、着目できないコトや看過ごしてしまうモノに焦点を当て、言葉で表現してしまうと理解不能な考えや心を感じ取っています。そして、流動するそれらを絵画という静止画の中で色彩と形に託して描いています。
修了制作では、夢のように目まぐるしく場面が展開していき自分自身も先が見えず迷っている時の心理状態を表現しました。つまり、それが「カオス(混沌)」と「コスモス(秩序)」の間で揺れている『こころ』なのです。
「想い想いに生き生きと」
氏原 栞(人文社会芸術総合研究科)
立体造形/銅、鎚起、溶接、彫金
第1会場:高岡市美術館
よく野菜の芽を生やしてしまう。萎んだ身体とは対照的に色も張りも良い芽。その毒々しい形を見て、これも悪くないと思った。
銅板を用いて、皮を突き破り顔を出す芽のようなものが想い想いに生き生きとする様を表現した。何かが覆い被さっていようとも、その環境の中で得られる最大限の栄養を摂り込み、上へと伸びていく健気で逞しい芽たち。そんな小さな芽に秘められた力を目の当たりにする度、元気を貰う。