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2024.06.11

【名物授業】授業科目「吉久まちづくりプロジェクトⅠ・Ⅱ」


[概要]
高岡市吉久は、2020年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された、美しい伝統的な町並みが残る地域です。選定は、これまでの地域住民と高岡市による継続的な活動成果です。一方でまちづくりの担い手の高齢化が深刻化し、今後の持続的なまちづくりに向けて、いかに若者の参加を促すことができるかが喫緊の課題です。特に、吉久は伝統的な町並みや獅子舞等の歴史文化が今なお残る地域であり、そうした地域特性を生かしたまちづくりが求められています。
そこでこの授業では、フィールドワークを通じて吉久の地域特性を解読し、吉久らしい豊かな暮らしを実現するための小さなアクションを学生が地域住民、NPO、協議会、高岡市と協働しながら、企画立案・実践・検証するために開講されました。

吉久の伝統的な町並みの残る通りをまる歩き

2023年度は、学生と地域住民の方々が「空き地活用」「空き家活用」「通り・軒下活用」の3つのテーマのチームに分かれて、それぞれワークショップを通して企画を考えていきました。学生たちは自分たちの考えだけでは進めることができないため、時には苦労することもありましたが、地域の方々と協働することで、地域の特性が生かされた魅力的かつ実現性の高い企画が考案されました。

企画を考えるためのワークショップ

各チームの活動は、学生と地域の方々が定期的に集まりながら、企画を具体化したり、準備をしたりしながら進めていきました。また、授業は年間を通して2週間に1回のペースで開講されました。学生たちは、チーム活動の進捗や課題、今後の予定をスライドにまとめて報告し、受講者全員でディスカッションしながら、その中で教員のアドバイスも受けながら主体的にチーム活動を進めていきました。

まちをより良くしていくためには、小さな活動の実践と検証の積み重ねが必要です。そこでこの授業では、小さな活動を企画するのみならず、実践・検証することが求められています。吉久では、さまのこアートinよっさというイベントが20年以上にわたり開催されています。各チームは小さな活動の実践の場としてこのイベントを活用しました。

空き地活用チームは、多世代交流の場づくりを目的に、学生と地域の方々が協働して、よしひさえんと名付けられた空き地を活用した菜園や空間デザインを行いました。伝統的な町並みが特徴的な吉久ですが、実はそこから一歩奥に入ったところには多くの畑が見られるのも吉久の特徴の一つで、野菜を育てることが得意な方々がたくさんいらっしゃいます。そうした方々に教えてもらいながら、学生と地域の方々で多くの野菜を栽培し、最終的には収穫祭を開催し、地域住民に振る舞いました。また、タープやベンチをつくることで、日常的によしひさえんに人が滞在できる環境整備を行いました。

よしひさえんでの活動

空き家活用チームは、空き家活用のモデルの一つとして「駄菓子庵」を企画しました。具体的には、空き家の通りに面した土間部分を活用し、昔の吉久の写真を地域の方達から集めて展示したり、駄菓子の販売を行ったりしました。高齢者だけでなく、普段はなかなか見られない子どもたちがたくさん来てくれて、まさに多世代の交流する場が生まれました。

駄菓子庵

通り・軒下活用チームは、吉久の道に着目した手ぬぐいマップを制作しました。吉久の魅力は、伝統的な町並みの残る放生津往来だけでなく、他の小さな路地のような道も魅力を構成する重要な要素だと捉えました。そこで、それぞれの道にその特徴を表す名前をつけてマップを考案し、それをシルクスクリーンで手ぬぐいに印刷し販売することで、吉久の魅力を地域内外の人に伝える活動を行いました。

シルクスクリーンの実演販売

それぞれのチームでは、まちをよりよくするための仮説を立て、それに基づき小さな活動を企画・実践し、それを検証することで新たな活動に向けてのヒントを得ました。これを今後も繰り返していくとで、まちに小さな活動が定着し、少しずつまちに変化が生まれていくことでしょう。

今後は、各チームで活動効果の検証を行い、その結果をまとめて地域で発表会を開催する予定です。

[授業科目名]
吉久まちづくりプロジェクトⅠ・Ⅱ

[担当教員]
田邊 元(富山大学芸術文化学系 講師)
籔谷 祐介(富山大学芸術文化学系 講師)

[受講生]
芸術文化学部2〜4年生対象

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