2018.12.19
【名物授業】授業科目「卒業研究・制作」卒業研究で山歩き?[指導教員:奥准教授(芸術文化キュレーションコース)]
授業科目「卒業研究・制作」
卒業研究で山歩き?
奥准教授が指導する卒業研究・制作では、県内外のすぐれた自然風景地に出かけることもあります。今年度は富山県内の天然スギの観光活用を卒業研究のテーマにしている学生がいることから、その調査を兼ねて魚津市の洞杉を視察しました。
10月中旬に訪れたのですが、朝方はあいにくの雨模様。この日、富山県内で雨が降っていたのは、このあたりだけでした。このことは実は視察目的ととても重要な関係があるのですが、それはまた後ほど。
洞杉は片貝川の上流域にある巨大な天然スギの群生地です。その多くが大きな岩を抱いて生え、幹に空洞があるものも多いことから、洞杉と呼ばれています。
魚津駅から車で40分ほどのところにある駐車場から、さらに1時間ほど歩かないと洞杉にはたどりつけません。しとしとと降る雨の中、片貝川の渓流美を横目に洞杉を目指します。途中、加賀藩の用材伐採にまつわる伝説が残る「龍石」や、甘酸っぱいヤマブドウの実にも出会いました。
一番の見所である洞杉群の観察歩道についた頃には、ほぼ雨もあがっていました。歩道をたどっていくと、岩の上に根を張った巨大なスギたちが眼前に迫ります(冒頭写真)。
普通は谷筋の肥沃な土地を好むスギにとって、岩の上はそれほど条件のよい場所ではありません。ですが、雨が降りやすく湿度が保たれるこの谷あいの環境であれば、岩の上でスタートすることでほかの植物との競争を避けられるのでしょう。このような気づきや驚きを、いかに観光活動の中に効果的に組み込めばよいのか、研究の腕の見せ所です。
卒業研究が佳境にさしかかってきた学生たちですが、畏敬の念を抱かせる自然風景を生み出してきたメカニズムに感嘆するとともに、いっときの気分転換にもなったようでした。
授業科目名「卒業研究・制作」
[受講生]
4年生対象
[必修科目となるコース]
全コース
[担当]
奥 敬一(芸術文化学部 准教授)
[関連リンク]
【受験生へのメッセージ】「風景のことを学んでみませんか」奥 敬一