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2017.08.04

【研究報告】研究者対象/解き明かされた江戸の偉業-中山大仏(法華経寺)修理調査現地報告会-

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解き明かされた江戸の偉業
-中山大仏(法華経寺)修理調査現地報告会-

このたび、研究者を対象とした現地説明会を上記のように行います。
江戸時代に銅造、如来、坐像、丈六、露座の条件で、親しみを込めて何々大仏と呼ばれる鋳造の仏像が造られました。現在、戦時中の供出を免れた約40体が確認できます。それらの中でも大型に類する法華経寺の中山大仏(1719年:像高3.4m、蓮台高1m、総重量3.9t)が、このたび基壇修理に伴い大仏と蓮台を別々に分けて長期間移設されました。この機会に、像内外の3D計測、青銅成分分析、鋳型土成分分析、鋳造痕跡などの調査をおこないました。内面と外面を精査できたことにより、本像に用いられた「鋳接」、「分鋳」という2種類の鋳掛け方法で、大仏34部品、蓮台32部品を組み上げたことが判明しました。そしてこの調査で、ようやく江戸大仏の、原型製作⇒鋳型製作⇒部品鋳造⇒組み立ての全工程のそれぞれの詳細がほぼ解明できました。今回のように大仏、蓮台の内部が詳細に観察できることは、極めて稀な機会になります。
丈六の国宝蟹満寺釈迦如来坐像や国宝薬師寺薬師如来坐像は一鋳(一度の注湯で造る方法)で鋳造しています。分鋳・鋳接法は中国古代三星堆遺跡出土の仮面・銅像に早くから用いられ、2千数百年後の江戸大仏に多用されます。東アジアに止まらず、ギリシャ、ローマも含め、大型銅像の鋳造技術通史を検討するうえで、ほぼ全容が解明できた法華経寺中山大仏は、今後の研究の重要な位置を占めることになります。各部品の堰は鋳造の常識を覆す位置にあります。大仏原型は土製ではないかと思える造形痕跡があります。肉身部には金が目視確認でき、水銀と金箔を用いたメッキ方法ではないかと思われます。螺髪は3種類の形状を使い分けて視覚効果を高めていることが分かりました。大仏の右半分と左半分で技法が異なり、2つの職人グループが左右に分かれ、競うように作業を進めたのではないかと推測できます。また、大仏、蓮台には鏨彫りで多くの銘文が施されています。
詳細につきましては、書籍あるいはアジア鋳造技術史学会誌の論文で報告予定です。

[説明者]
日塔 和彦(市川市文化財保護審議会委員)
三船 温尚(富山大学芸術文化学部 教授)

[日時]
2017年9月3日(日)雨天決行
・受付/12:30~13:00(客殿前にて)
・解説/13:00~15:00(客殿にて)
・現地説明/15:20~16:30(大仏前にて)

[場所]
法華経寺 
〒272-0813 千葉県市川市中山2-10-1
TEL:047-334-3433

[対象]
研究者および関係者 
※なお、2017年9月9日の「一般見学会」については法華経寺(TEL:047-334-3433)へお問い合わせください。一般見学会は事前申し込みが必要です。 

[主催]
法華経寺、富山大学三船研究室

[問合せ先]
E-mail:mifune(a)tad.u-toyama.ac.jp
※(a)は@に置き換えてください。
TEL:0766-25-9162(直通電話:三船 温尚)

300年前の工人の鋳造痕跡と鋳型土が像内部に残っています。面部から頭部の像内面。 
左膝前と左手首の像内面。材質は青銅です。 
背中の扉部分の像内面。この扉から何回も出入りして調査をしました。 
蓮台(返花)の内面。修理調査後は土を埋め戻すため、蓮台内部は見えなくなります。 
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