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2017.01.16

【名物授業】芸術文化キュレーションコース学生は必修科目の「鑑賞のための造形演習」/「凸面・凹面、稜線・谷線」(塑像:第9回~第10回)

中国漢・唐代の塑像や、飛鳥時代などの金銅仏・木彫仏を参考に、「表情」を水粘土で制作しました。藁縄を丸めて芯に入れています。 

授業科目名「鑑賞のための造形演習」 

指でなでて面を感じながら制作します。細部は竹ヘラを用います。 

 <第9・10回授業>
水粘土による顔の塑造(制作は約2時間)で、鑑賞して「安らぐ表情」、「優しい気持ちになる表情」を表現する課題です。顔の正確な立体を制作するのではなく、表情を塑造する実験・研究です。制作後、鑑賞して表情をよく表していると思うものに投票しました。
制作中に気付いたことを文章で記録し、最後に、ミニレポート(以下の2課題)を記述しました。そのなかから一部を紹介します。

1)立体の「凸面」・「凹面」・「稜線」・「谷線」の4要素について塑造で感じたことは何か。
・4要素は光の当たりかたによってできる陰の違いを表現する手段かと感じた。
・4つのうちどれかを欠いて考えると、とたんに作品のできが悪くなる。
・4つはそれぞれ隣り合って連続してつながり、1つの塑像を構成している。
・塑造は、制作中に面を指で感じることができるのが良い。
・顔には4つの要素が多く含まれていることが分かった。

2)制作体験から、鑑賞して安らぐ表情をつくるポイントは何だと考えたか。
・丸みと稜線の使い分けと、制作者が優しい気持ちでつくること。
・くっきりした表情ではなく穏やかなパーツの形と、鑑賞者に無害そうな顔がポイント。
・鑑賞して良いと思った作品は、頬が大きく丸みを帯びていた。
・仏像のような寛大なほほ笑みがポイントだと思うが、その雰囲気はだせなかった。
・顔のパーツが離れたほうが穏やかだと考えていたが、他の学生作品を鑑賞すると、中央に寄せても安らぐ表情になっていた。
・実際の顔よりも少しデザインしたほうが安らぎの表情になり、人間らしい顔を粘土表現すると怖さも感じた。
・他の人の作品を鑑賞して、写実的ではなく、丸みがあり凹凸が激しくないものに安らぎを感じた。
・投票で人気だった作品はわずかな凹凸でやわらかさを表現してすごかった。
・制作中、目や眉、口の角度が少し違うだけでも表情がこんなにも違うのかと思った。 

安らぐ、優しい気持ちになる表情は鑑賞する人の感じかたによって異なります。光の角度や強弱によってできる陰影によっても変わってきます。表情を塑造した経験は、彫刻や仏像などを鑑賞するときに生かされるはずです。以下は授業で実験した顔の一部です。これらからどういう表現が安らぐのか検証することができます。 

[受講生]
2〜3年生対象

[必修科目となるコース]
芸術文化キュレーションコース(文化マネジメントコース)
※他のコースは選択科目

[担当]
三船 温尚(芸術文化学部 教授)

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