2019.01.21
【学生の日々】「GEIBUN 10」卒業研究・制作紹介! デザイン工芸コース 辻合 ひかり
「GEIBUN 10」卒業研究・制作紹介!
芸術文化学部 デザイン工芸コース 辻合ひかり
卒展「GEIBUN 10」に向けて、研究・制作を進めている学生に、学生の視点でインタビューいたしました。それぞれの学生の取り組みをご覧ください。
《GEIBUN10 インタビュー NO.7》
今回のインタビューは、デザイン工芸コース清水ゼミの辻合ひかりさんです!
Q. まず、卒業研究のテーマを教えてください!
A. 精密鋳造における線描表現の追求です。ワックスの盛り付けによる線描表現というのが副題になっています。
Q. なぜその研究をしようと思ったのか教えてください!
A. まずジュエリー制作Cという授業を受けたのがきっかけです。その授業は教科書があるんですけどそれにワックスの盛りつけというのがあって、やってみたら「あれ?案外面白いぞ」みたいな。私は、自分の好きな画風と自分の手から出てくるものが違っていて、自分の“手”が好むものをやってみたいと思ったんです。そして、教科書より細かいことができそうな気がするなと思ったので、これは研究として成り立つなと考えたんです。何かモチーフを表現したいっていうのは確かにあるんですけど、ワックスの技術がどれだけ出来るかっていう方により興味を持っていて、どれだけのことができるのかやってみたいという思いで、卒制を進めています。
Q. ところで、精密鋳造がどのようなものか分からないのですが・・・。
A. ワックスで作った原型を石膏で包んで、それを電気炉に入れてワックスを溶かし出します。それでワックスが流れ出て、石膏の空洞になった部分に金属を流し込みます。それを熱いまま水の中に入れると、石膏が崩れて中の金属が出てくるといった感じですかね。
Q. ちなみに精密鋳造っていうのは普通の鋳造とどう違うんですか?
A. 大学にある機械の範囲でしか分からないんですけど、私達が使っている機械は真空吸引加圧鋳造機と言います。何が起こるかというと、普通の鋳造だと溶かした金属を流し込むんですけど、真空吸引加圧鋳造機は金属すら圧縮されて真空状態で鋳造されるので、他の技法よりも細かいものが出来ます。また、特徴として鋳肌というものがありません。鋳肌というのは鋳物の肌という意味です。普通の鋳造では土などで型を作り、真空じゃない状態で金属を流し込みます。すると、ガスが発生して鋳物の表面にブツブツができます。それが鋳肌です。また、デメリットとしては小さいものしか作れないというところがありますね。
Q. 作品に使う金属は何ですか?
A. 真鍮と呼ばれる銅と亜鉛の合金を使います。私は、1番色が好きです。それに扱いやすいです。作業が楽というだけでなく、一つ一つに愛着が湧き、一手一手に気持ちが込めらます。
Q. 今やっている作業は何ですか?
A. トレーシングペーパーの上にワックスをのせる作業です。トレーシングペーパーに絵を描き写して、その上にワックスをのせていきます。
Q. 大分細かい作業ですけど、コツとかってありますか?
A. ヘラを使い分けます。カッターも使いやすいように、先を研磨してあります。側面を削りつつ、下の面も垂直に削れるように。あと、ワックスを溶かすためにアルコールランプを使っています。火の高さによって温度が違うので、ヘラを温める火の温度を調節しています。例えば、細かい作業をしたいときは炎の下の方の火を当てます。今はもう、ヘラの温度とかは感覚で分かるようになりました。使い方とかは自分で探っていきました。
Q. 卒制で作るモチーフとかってあるんですか?
A. 特に決めずにいろんなモチーフで作りたいですね。いくつ作るとか個数も全然決めてないですし。どんどん作って、いいものを出品しようという感じです。
Q. 作って行く上で大変なこと、苦労することってありますか?
A. いっぱいありすぎて・・・。ワックスを盛る作業なんて、細かすぎますし、全体に均一に熱を加えないと歪みが出てきたり。そういうことに気をつけて頑張っても、報われないこともありますし。鋳造はもう、祈るだけですね。努力はもちろん必要ですけど、運も必要なんです(笑)
Q. 卒業制作の展示で飾られたときにここを見てほしいポイントととかはありますか?
A. 作品の繊細な部分ですね。是非、近寄ってもらって見て欲しいです!
インタビューありがとうございました!こだわりや愛情を持って作品を制作している姿勢がとても素敵でした。いろんな作品を見せて下さってありがとうございます!どんな作品がいくつ展示されるのか当日まで分からないのでとても楽しみです!
[取材・写真・文・編集]
卒展キュレーター委員会 (2018年12月20日)
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