キャンパスライフ

卒業生・在学生の活躍報告募集! NEWSを送る

2022.02.21

【展覧会】産学官連携事業 やさしい・いものプロジェクト/作品展示販売『市民がつくるたのしい鋳物』展のご案内

作品展示販売『市民がつくるたのしい鋳物』展 
産学官連携事業 やさしい・いものプロジェクト のご案内

[展示販売]
2022年2月25日(金)~3月6日(日) 
10:00~18:00、最終日は16:00まで。
 ※ 3月2日(水)は、2階の展示販売会場は《 休業 》
PDFはこちらをご覧ください。

[会場]
御旅屋セリオ 2階 特設会場 (高岡市御旅屋町101)

[主催]
産学官連携事業 やさしい・いものプロジェクト実行委員会
(富山大学芸術文化学部、㈱能作、高岡市デザイン・工芸センター、オタヤ開発㈱)

[後援]
㈱大和富山店、NPO 法人たかおか共創ネット

高岡銅器は世界のほかにはない規模の大きさを誇り、現在は一品種量産型の生型(なまがた)鋳造法がその主要技法になっています。この方法で産業工芸品、工業製品や機械部品などをつくり私たちの暮らしを支えてきました。

1990年代中頃から国立高岡短期大学の授業で、原型をつくらないで鋳型に「彫る・押す」方法で制作する一品しか鋳造できない方法を開始しました。同一形の量産と異なり、初心者でもアイデアをすぐに盛り込める即興性が従来にない新しい製品を生み出しました。その後、富山大学芸術文化学部になっても、学生によるこの斬新な作品制作を授業で継続し、2016年から高岡キャンパスで一般市民に作品を販売し、斬新さが評価されてきました。

そして、「学生を市民に」、「キャンパスを地域に」拡大して、市民の鋳造作品を、市民に販売する『やさしい・いものプロジェクト』を産学官連携事業として、2018年8月にスタートし準備してまいりました。

2019年11月から実施した市民の鋳造は、参加する市民の皆さんが㈱能作の工場で第1回、第2回の鋳型製作、鋳造をおこない、高岡市デザイン・工芸センターで研磨して作品を完成させるというものでした。伝統産業の高岡銅器の鋳造現場に市民が入り込み、鋳型をつくることはこれまでにない、初めての試みでした。
その後、新型コロナウイルス感染蔓延で、参加人数を制限して、富山大学芸術文化学部鋳造室で第3回~12回(2021年12月まで)を実施しました。

コロナ禍のなか、口コミでおもしろさが伝わり、事前体験会を含めた市民の参加者は延べ110名になりました。このたび、延べ75名の鋳物作品249点を、2022年2月25日から、御旅屋セリオ2階で展示販売することとなりました。販売価格は全て参加者ご自身が付け、作品の作者コメントも掲載いたします。
このプロジェクトは、「地場産業の鋳物で、市民がたのしく制作し、それを市民が販売し、市民が購入してたのしむ」という、市民が主役の事業です。

「やさしい」は原型をつくらない「易しい」でもありますが、「優しい」のほうに大きな意味合いを込めています。参加者は、鋳型枠から砂が落下することや、青銅が流れないなど多くの失敗を乗り越えて自力で成功する喜びを感じていました。日常では気づかない、自分の感性や能力を知り、楽しくなり優しくなります。
鋳型砂が崩れ、青銅が途中で止まり、キレイなもの、成功したものばかりではありませんが、作品の向こう側にある、その時の作者のたのしさ・やさしさが形になり、青銅という形を変えないものに生まれ変わりました。
これまでの高岡銅器には無かった作品が並んでいますので、ご覧ください。

展示する作品たちが、今後の高岡銅器やものづくりの新しい流れの起点になることを願っています。

㈱能作の鋳造工場で、参加者が生型鋳造の鋳型をつくっているところです。これまで伝統産業の現場に市民が入り込んで作業をすることは無く、新たな風が吹くことを期待しています。
日曜日の広い工場で、参加者は自分のアイデア練って黙々と鋳型をつくります。原型を使わず、鋳型をヘラで彫りくぼめたり、鋳型にスタンプを押して青銅が流れる隙間をつくる方法は常識外のやり方です。写真の左側にでき上った鋳型がどんどんと並べられていきます。
大学の授業でも使用している、銅85%、錫15%の青銅を、㈱能作の職人さんが鋳型に流し込んでいきます。この配合の青銅は、従来の青銅よりも細く、薄く流れ、鋳引け収縮の欠陥もなく、今後の利用価値が高いと思われます。
流し込み後、すぐに鋳型から取り出して並べた作品です。この後、職人さんが余分な流し込みの道を切断してくれます。
㈱能作からすぐ近くにある高岡市デザイン・工芸センターに作品を運び、思い思いに削って、磨いて完成です。
新型コロナウイルスのため、第3回~12回は人数制限を6名までにして、富山大学芸術文化学部の鋳造室で開催しました。型枠に生型砂をふるって入れます。こどもの頃の砂遊びに似ています。大人になって忘れてしまった感覚です。
鉄のスタンプで生型砂を突いて固くして、型枠の中に鋳型をつくります。
貝殻や葉っぱを生型砂に押しつけて模様を写し取ります。粗い鋳型砂ですが、予想以上に細かくリアルに鋳造できます。
ヘラで彫った△、〇に青銅が流れていく道を彫っています。
2つに分けた鋳型を外しているところです。右の鋳型には厚紙が入っています。厚紙を抜き取って隙間をつくり、青銅を流す道を彫って、2つの鋳型を合わせて、丸い穴から流し込みます。
富山大学の鋳造室では、参加市民が約1200℃で熔けた青銅を自分で流し込むこともしました。このときは緊張の瞬間です。参加者は防護服を着て安全に作業をします。
WP Twitter Auto Publish Powered By : XYZScripts.com