2025.02.27
【学生の日々】「GEIBUN 16」卒業・修了研究制作紹介 No.13
卒業・修了研究制作展「GEIBUN16」に向けて、研究・制作を進めている学生にインタビューを行いました。それぞれの学生の取り組みをご覧ください。
《GEIBUN16 卒業・修了研究制作紹介No.13》
人文社会芸術総合研究科 大橋 結花
Q1、テーマについて教えてください
「ピンクルーム」というタイトルで、ピンク色の空間に男の子を配置した絵を描きました。ボーイズラブ作品における男の子をモデルとし、「甘さ」をテーマに制作しました。
Q2、どうしてこのようなテーマにしましたか?
修士制作では、ボーイズラブ作品における男の子をモデルに制作を行ってきました。ボーイズラブの起源である1980年代の少女マンガにおける描写には、読者の女性たちが作中の男性像に自己を投影することで、女性という性のロールモデルや役割から解放する背景があったと言われています。この異性像への擬態による女性的役割からの解放という点が、私自身が絵画制作を通して表現したいことと重なると感じ、ボーイズラブ作品の男の子をモデルとしています。
ピンク色は赤色と白色が混ざり合うことでできる色です。例えば、いちごジャムとヨーグルトが混ざり合った状態の、可愛らしさに潜む生々しさといった、相反する要素を取り入れやすい色だと思います。今回の作品では「甘さ」をテーマとし、甘さに潜む中毒性や依存性を、自身の異性像に対する複雑な心情と重ねて描いています。
Q3、ピンク色に思い入れがあるとのことでしたが、どのような思い入れがありますか?
保育園の頃、ピンク色が好きな自分を恥ずかしく思い、水色の服ばかり着ていました。ピンク色がもつ「女の子らしさ」への憧れをもつ反面、好きなものを素直に好きだという自分を肯定できないもどかしさや、「女の子らしさ」という枠に囚われることへの恐怖がありました。そうした経験から、ピンク色はさまざまな感情を揺さぶり、自身の複雑な心情を表す色だと感じています。
Q4、どのように制作を進めていますか?
人物像については、男性と女性の2人のモデルに同じポーズで写真を撮らせていただき、その写真を基に描いています。男女の骨格を比較しつつ、それぞれの身体の魅力的だと思う部分を組み合わせて描いています。人物以外のモチーフについては、1つ1つのモチーフで表現したい心情を意識して描いています。粘度性の高いクリームやジャムは、流動的な形を捉え描写することで、自身の中で沸々と湧き上がる思いや複雑に絡み合う感情を表現しています。宝石やネックレスといったモチーフは、クリームなどの流動的なものの中で、形が変わることなく煌めく存在だということを意識しています。
Q5、作品を見た人に特に見てもらいたいことや伝えたいことはありますか?
男の子たちはこの空間でくつろぎながらも、どこか不満や窮屈さを感じているように描いています。それは、私自身が性への固定観念や役割に対して不満や窮屈さを抱いているためです。この作品では、男の子の像に自身の心情を投影することで、鑑賞者の方に対して鏡のような役割を持たせたいと思い、制作しました。この作品を見て、みなさんの中にある性への固定観念や想いについて、再度考えるきっかけになればと思います。
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