2025.02.06
【学生の日々】「GEIBUN 16」卒業・修了研究制作紹介 No.8
卒業・修了研究制作展「GEIBUN16」に向けて、研究・制作を進めている学生にインタビューを行いました。それぞれの学生の取り組みをご覧ください。
《GEIBUN16 卒業・修了研究制作紹介No.8》
建築デザインコース 平賀 結名
Q1、今取り組んでいる卒業制作のテーマを教えてください。
日常生活に潜んでいる自然のゆらぎを建築内部に取り込んだ、公的機能を併せ持つ橋の設計・デザインをテーマに制作をしています。
Q2、そのテーマにした理由を教えてください。
日本人の美意識の変化*に伴い、スマートフォンやテレビなどで景色をフレーム化することに美の視点を置くようになった今日、本来の価値や感動は表面的に消費されているように感じます。そこでわざわざ足を運ばずとも、日常の身近な部分で小さな美の瞬間に自ら気づく体験が必要だと思い、その瞬間の一つに自然のゆらぎがあると考えました。ゆらぎが取り入れられた建築の提案により、見慣れた景色を異なる角度から捉え直すきっかけを作りたいという思いからこのテーマにしました。
*日本人の感性(美意識)の変化…国土交通省の調査により、日本人の美意識は時代や社会状況、文化的背景により大きく変化したとある。一例として、美しいとされる風景は古来では鑑賞を愛好してきたが、近年では被写体として写真に収め、その見栄えを重視するようになったと記されている。
Q3、これまで見つけてきたゆらぎの中で、一番印象に残っているゆらぎは何ですか?
沢山ありますが、中でも車のフロントガラスに落ちた雨粒が波紋のように広がって滴り、その雨模様が光の反射によって、車内の天井(ルーフ)に映り込む様子です。静止しているはずの天井(ルーフ)が、生きているかのようにゆらいでいて、非常に独特で魅力的だと思います。
Q4、設計では、具体的に何をしていますか?
設計を進める上で、日常に潜む自然のゆらぎを沢山見つけるために、光や影、雨といった現象に意識的に目を向けて生活していました。また、自然の揺らぎを、建築内部で再現するための最適な部材やディテール、距離の関係を把握することを目的として、1/50の模型を作ってどんな現象が起きるか実験を行いました。
これらを参考に、コミュニティスペースや展望台などの公的機能を併せ持つ橋を設計・デザインします。敷地は長野県松本市の人々の生活圏に身近な薄川を対象とすることで、通勤通学や休憩時間に気軽に利用できるものにします。本研究による作品が、日常に潜む自然のゆらぎに気づけるきっかけに繋がることを期待しています。
Q5、卒業制作を通してみる人に伝えたいことはありますか?
自然の美しさは身近なところに沢山潜んでいて、どこにいてもそれは必ず見つかるはずです。ビニール傘に映る雨模様や、光がペットボトルの水に反射をしてデスクに微細な波紋を描く様子等。ぜひ、通勤通学の最中や休憩時間、手元のスマホを見ず、ちょっとだけ目線を上げ、自然のゆらぎを見つけてみてください。
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