2025.01.15
【学生の日々】「GEIBUN 16」卒業・修了研究制作紹介 No.6
卒業・修了研究制作展「GEIBUN16」に向けて、研究・制作を進めている学生にインタビューを行いました。それぞれの学生の取り組みをご覧ください。
《GEIBUN16 卒業・修了研究制作紹介No.6》
美術・工芸コース 飯田 紬衣
Q1、今取り組んでいる卒業制作・研究のテーマはなんですか?
金属とガラスによる生活小物の研究制作をしています。
私は扱う素材である、金属とガラスの長所と短所をきちんと理解した小物が作りたいと思っています。今回の卒業制作では生活小物の中でも香炉と茶香炉の2点を制作しています。香炉はお香の香りを楽しむために使われるものであるのに対し、茶香炉はお茶葉をかおりが立つまで温めて、その後ほうじ茶にして飲むこともできるような小物です。
香炉ではガラスとシルバーを使用した四角い箱型のものを、茶香炉は銅板の鍛金で、お茶葉を乗せるお皿とそれを温めるためのアルコールランプを作ります。
Q2、香炉はよく耳にしますが、茶香炉を作ろうと思ったきっかけはなんですか?
茶香炉は銅板での鍛金をメインに制作しています。銅は他の金属に比べ柔らかく、熱伝導率が高いという特徴があります。それらの特徴を活かした物を作りたいと思い、いいアイデアがないか造形できる形を探していったとき「茶香炉」という存在を知りました。
茶香炉には消臭効果があるので、人工的な香りが苦手な人にもおすすめです。工芸の様々な素材・技法を使った茶香炉を作り、香水などの強い香料が得意でない人も楽しめるような小物を作りたいと思ったことがきっかけです。
Q3、茶香炉では銅板で鍛金技法をメインに作業を進めていくそうですが、鍛金の制作はどのように進めていますか?
鍛金は銅板をバーナーで赤くなるまで熱し、柔らかくした金属をあてがねという道具に合わせながら金槌で叩いていく作業を何度も何度も繰り返して形を立ち上げていく技法です。鍛金では特に形にこだわりを持って自分が納得のいくまで作業を繰り返しています。今回制作するお皿やアルコールランプはどれも正円を基準とした形をもとに仕上げていくので、コンパスやトースカンを使用しガイドを書いています。それらを頼りにあてがねに当てながら丁寧に銅板を金槌でたたいています。焦ってたたいてしまうと正円の形が崩れてしまうため、地道に形を修正しながら作業を進めています。
アルコールランプの部品は2つに分かれており、本体と底の部分をアルコールが漏れないようにピッタリとはめなければなりません。その噛み合わせも手作業で行われるため逐一本体と照らし合わせながら慎重に作業しています。
Q4、香炉に使用しているガラスの技法、パートドヴェールとはどんな物なのでしょうか?
パートドヴェールとは細かいガラスを石膏型に詰めて焼くことでガラスを溶かし、形を作る技法です。型に入れるガラスの大きさによっても出来上がりの質感が違ってきます。砂のように細かいガラスを入れるとすりガラスのような仕上がりになって、小石ぐらいの大きさの物を使うと透明感が増して向こうが見えるような仕上がりになります。
ガラスは割れやすく、なかなか私の思い通りにはなってくれません。
私は雪解けや波打ち際のようなキラキラとした「儚さ」を作品に投影し、表現方法を模索しながら制作しています。
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