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2026.01.23

【学生の日々】「GEIBUN 17」卒業・修了研究制作紹介 No.3

卒業・修了研究制作展「GEIBUN 17」に向けて、研究・制作を進めている学生にインタビューを行いました。それぞれの学生の取り組みをご覧ください。

《GEIBUN 17 卒業・修了研究制作紹介No.3》
美術領域 岩城 悠里さん

Q1、テーマについて教えてください
作品のタイトルは、『自我がある限り』といいます。F150号という、自分よりも大きなキャンバスに向き合って制作しています。今回のテーマは、人間が抱える「弱さ」や「醜さ」を否定せずに、そのまま受け入れることです。生きていく中では、安易に言葉にしたくないようなモヤモヤした感情がどうしても生まれてしまいます。世の中ではそういったネガティブなものは「克服すべきもの」とされがちですが、私は必ずしもそうは思いません。消したくても消せない自分の弱さを抱えたまま生きていく。そのありのままの姿を、一つの「自我」の形として肯定したいと考えています。

Q2、どうしてこのようなモチーフや色を選んだのか教えてください
画面には、人の髪が羽になり、さらにそれが木の根っこになって広がっていくという、現実にはありえない光景を描いています。最初は、純粋に「髪が羽になっていたら可愛いな」と思ったのがきっかけでした。そこから考えを深めるうちに、自分が一貫して「脈」や「管(くだ)」のような造形に惹かれていることに気づきました。血管や木の枝、根っこのように、うねりながら広がっていく形には、強い生命力を感じます。色については、今回は輪郭を強調するために濃い赤色を選びました。これまでは全体的にくすんだ色合いで描くことが多かったのですが、今回は血液や命の生々しさを表現したくて、あえて鮮やかな赤を入れています。今は制作過程で一番派手な段階ですが、ここからさらに色を重ねて、深みを出していく予定です。

Q3、制作意図・ポイントについて教えてください
特にこだわっているのは、人物の肌の質感や「血色」の表現です。 油絵の具は通常、油で溶いて使いますが、私はあえて油をほとんど使いません。筆の先に少しだけ絵の具を取り、キャンバスにガサガサと押し付けるようにして、薄くこすり広げていきます。そうすることで、下の色が絶妙に透けて、肌特有のリアルなムラや透明感を出しています。 一方で、羽や木の根っこの部分は、絵の具を少し厚めに盛って描いています。肌の「透けるような繊細さ」と、モチーフの「ゴツゴツとした物質感」。この対比によってメリハリをつけ、画面の中にリズムを作りたいと考えています。

Q4、制作の中で大変なことは何ですか?
私は放っておくと、つい細い筆でちまちまと描き込んでしまう癖があります。今回のF150号というサイズでは、最初から細部にこだわりすぎると全体のバランスが崩れてしまうため、あえて最初にしっかりとした完成図を作ってから描き始めました。 今、一番苦戦しているのは「羽」の描写です。最後は一本一本、気の遠くなるような作業で羽のふわふわした質感を出していくつもりなのですが、ただ細かく描くだけでなく、もっと「羽らしさ」を伝えるための新しい表現がないか、今もギリギリまで模索を続けています。

Q5、見た人に特に感じてもらいたいことは何ですか?
一つの絵の中に、「醜さ」と「美しさ」が同時に存在していることを感じていただければ嬉しいです。 髪が羽になり、根っこになっていく姿は、一見すると不気味で異質なものに見えるかもしれません。でも、自分のダメなところや醜い部分を無理に消そうとせず、それを持ったまま生きている姿は、どこか「きれい」でもあると思います。 この大きな作品の前に立ったときに、人間が持つ感情の多面性や、割り切れない気持ちのままでも生きていていいんだ、という感覚を共有できればと思っています。

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